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Vol.53 不動産は価格より生活や相性が大事
住まいに関する質問や相談に
プロフェッショナルが様々な視点からズバリ答えるこのコラム。

今回も前回に引き続き
「一度契約したマンション、手付金を放棄してでも値下がりを待つべき!?」
を取り上げます。

Q.先日、新築マンション購入の契約をし、
手付金として10万円を支払ったのですが、
その後現在のような不動産不況、
特にマンション不況が深刻になってきて、会社の上司からも
「手付金を放棄してでも見送った方がいい」
といわれ、どうしたらいいか迷ってます。

正直いって「もう少し価格が落ちればいいなぁ」
というのも本音です。
 
竣工は来年3月ですので入居まで、まだまだ時間はあります。

私の場合、郊外型大規模マンションなのですが、
今後このマンション不況が続き
値下りが現実的なものとなった時に、
すでに契約している私自身も
改めて値引き交渉できるものなのでしょうか?

そもそも一度契約をしたら、
後でそのマンションが値引き販売をしたところで
当初の金額で我慢せざるを得ないのでしょうか?

(40代 男性)
今回は不動産購入アドバイザーとして、
数多くの不動産に関する相談を受け付けてきた
柴田誠さんに答えてもらいました。
柴田誠 プロフィール
不動産購入アドバイザー

不動産購入に失敗する人を減らすべく、
平成15年4月より独自の不動産購入サポート業務を開始。

「不動産購入応援サイト」では数多くのコラムを掲載し、
不動産購入に役立つ知識と考え方を伝えている。

大手ハウスメーカーや不動産会社ネットワークのセミナーにて、
不動産購入と住まいの選び方などの講師も務めている。

また、不動産営業の近代化を目指した研究会を主催。
住宅ローンの組み方、不動産の選び方、
契約実務や疑問質問などの相談を受け付け、
全国からわざわざ千葉の柏まで相談に来る人もいる。
■マンション市況の現状について
ここ数年の地価や資材の高騰により
新築マンションの販売価格は大幅に上昇しました。

この結果、販売価格と購入者の資金力や購入意欲との乖離が大きくなり、
売れ行きが落ちました。
さらに、昨年のサブプライムローン問題に端を発した
金融引き締めによる資金調達の厳しさが、
分譲業者を倒産へと追い込んでいます。

これが上司の方がおっしゃる“マンション市況”の現状です。

今後の市況を考えても、物価高による家計圧迫(住宅ローン負担力の減少)、景気後退による収入減少などから、需要が伸びる見込みも薄く、分譲業者としては在庫となっている売れ残り物件を、価格を引き下げてでも早く売ろうとしています。

既に、一部の新築マンションを除いて、
値下げ販売・内々での値引き・
家具やオプションのサービスなどの
実質的な値引きなどが行なわれており、
特にご相談頂いた“郊外”では
値引き合戦の様相さえ見えています。

手付金は解約する権利を得る(解約手付)もので、
期限内であれば買主側は手付金の放棄をすることにより、
契約を一方的に解約することができます。

今回の場合では、10万円を失ってしまうことにはなりますが、
現在のマンション市況などを考えれば、
10万円以上の値引きなどを得ることは可能性が高いと思われます。

なお、よほどの事情がない限り、
契約後に、他の部屋や区画などの値引き販売が行なわれたとしても、
取引条件に合意して結ばれた約束(契約)を
変更することはできません。

これは不動産取引を含め一般的な商取引にもいえることですが、
正常な判断のできる者が示した“意思”を尊重するものであり、
契約内容が後々ころころ変更することが可能になると、
社会が成り立たなくなってしまいます。

ただし、せっかく販売することができた部屋を解約されるのは
分譲業者も望まないことから、手付解約の申し出をした際、
何かしらの提案(値下げなど)をしてくるかもしれません。

分譲業者の出方次第ではありますが、
実質的には値引き交渉は可能といえます。
(注:分譲業者が解約をあっさり受け入れることもありえます。)

■マンション購入の判断は難しい?
値下がり傾向にある市況のときに、
購入を判断するのは難しいものになります。

購入者側の共通心理として、
少しでも安く買いたいと思うのは当然であり、
もう少し待てば安くなるのではないかと考えてしまうからです。

しかし、マンション購入の目的は、購入したマンションを転売して儲けることではなく、無理のない負担で快適かつ安心できる生活を過ごすことです。

安く買おうと不動産の市況を優先して、家庭や生活などの状況から購入する適切な時期を逃すことは本末転倒な結果に成りかねません。

また、安く買うことを優先するあまり、
立地を悪くしたり、建物のクオリティを落としたりすることも、
生活や購入後の資産価値にも悪影響を落としかねません。

安く買うことができても、毎日の通勤が大変になったり、
不満を持って生活するくらいなら、
購入を見送るくらいでもいいのかもしれません。

さらに、資産価値が減少することは、
気分的にいいものではないことに加え、
いざという時に売却して住み替えをしたり、
住宅ローンの返済に充てることを想定すれば、
なるべく避けるべきです。

資産価値が高く維持できそうな不動産、
快適な生活を送れそうな住まいは、現在のような市況でも、
あまり価値を落としておらず、
価格などの市況ばかりに目を奪われてしまうと
大切なことを見過ごしてしまう場合もあります。

今回購入したマンションがどのようなものなのか、
ご相談された方のご家族の生活と相性がよいのか。

ここを考慮した時、
「このマンションのこの部屋がベスト」とご判断できるのであれば、
他が高い安いなどの市況から離れて
購入されてもよいのではないかと思います。
(あくまでも無理のない負担の範囲でという条件つきです)


今回のポイント!

・マンション市況は悪く、値引き合戦の様相を示しており、
 手付金を失っても、購入費用を抑えられる可能性が高い。

・すでに契約済みでも手付解約を申し出ることで、
 契約条件の見直しを得られることも。
 (ただし解約してもいい覚悟で)

・マンション購入の目的は、安く買うことではなく、
 購入した後の生活である。

・市況よりも、生活と住まいの相性、
 資産価値を優先させる。
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